2015年5月11日(月曜日)
略 歴
1949年 千葉県館山市出身
1973年 上智大学法学部法律学科卒業
1981年 上智大学大学院(法学)博士課程単位取得満期退学
同年上智大学法学部助手
1984年 帝京大学法学部非常勤講師
1986年 東海大学政治経済学部専任講師
1991年 同政治経済学部助教授(〜1998年3月)
ドイツ連邦共和国カッセル大学客員教授(〜1991年12月)
1998年 東海大学政治経済学部教授
1999年 マレーシア戦略国際問題研究所(ISIS Malaysia)
客員研究員(〜2000年3月)
マレーシア・マルチメディア大学
(Multimedia University)客員教授(〜2000年3月)
専門は、政治学、国際関係論、国際政治経済論、日米関係論で、特に「グローバリゼーション」、「経済的地域主義」、および「日本異質論」を主な研究テーマとしている。
アカデミックな見地だけにとどまらず、 「グローバル化時代におけるビジネス戦略」や「今後、企業がとるべき進路」についても具体的に講話。
「答えの見えない21世紀、繁栄と平和の秘訣はなにか?」 大きな奔流に翻弄され、新しいパラダイムを見出せない時代、私たちは現代政治経済システムの緊張、危険、そして機会を十分に理解する必要に迫られています。
時代の大きなうねりと渦の核心をとらえ、明るい未来への展望を切り開いてみるべく、お話が出来ればと思っております。
私は直接商売をしたことがないので、ビジネス面よりもグローバル化自体をどのように考えたらいいかという観点でお話をさせていただきます。
今や、テレビ、新聞、雑誌などを通してグローバリゼーションを聞かずに生活することは困難な時代になっています。グローバル化に関する善し悪しを聞いていると、どうも意見が噛み合わず、頭が混乱しているのではないかとの印象をうけます。私が考えるグローバル化の本質は、豊かな国のイデオロギーであると理解しています。
グローバル化の考え方、それに基づく行動はあまり良いものであるとは理解していません。もし、いいグローバル化があるとすれば、人に優しい国際的統合とでも言うのかなと考えています。そのような話をさせていただきます。
横浜を中心に企業経営し働く方にとってもグローバル化は避けて通れないと思いますが、流行語的な現象となっていて、その中身、行われていることがよくわかりにくというのが現実であると考えています。
グローバル化を推進する人は、これを実現すると途上国を含めて世界の人々が経済的に豊かになって、従って国家間の戦争もなくなり、国内的にも貧富の差の対立もなくなると、このような説明が行われています。今では、このように楽観的にいう人は少なくなっていますが、有力な説として残っていることも事実です。
私は、グローバル化は必然があり、避けられないから、しっかり対応しなさいと学生にも教えています。
例として話すのが、グローバル化に対応し事業を拡大して生きてきたユニクロの柳井さんのことです。外国人社員の比率が多くなり、彼は「英語ができない学生はいらない、グローバル化がわからないと生きていけないし、一日も暮らせない」と明言しています。
グローバル化は政治、経済、社会など、人間生活にとって切り離せない一つの問題であり、様々な課題を解決する万能薬であると、盛んにいわれてきました。
これに対する反対論者は、地球規模で経済の仕組みができるようになると、その中に組み込まれた国家は自らは何もできなくなってしまう。お金が国境を越えて移動すると悲惨な結果が生じる(規制なき資本移動)。これは、アジア通貨危機があった1997年、その原因がグローバル化であると、これを念頭にいっているのではないかと思います。
いくつか例外はありますが、殆どは先進国と途上国で格差が広がっています。国内でも正規社員と非正規での格差が広がっています。
グローバル化に対してどのように考えたらいいかですが、Aの意見、Bの意見、Cの意見、どれがいいかではなくて、グローバル化が現実に起きているというのであれば、グローバル化を直接みたり聞いたりして自分の経験に基づいてそれらを判断材料にすべきだと思います。つまり、グローバル化を分析すれば、よい行動指針もとれるということです。(第66回講演より、講演要旨及びその一部を掲載)