第69回講師交流会

2016年4月26日(火曜日)



講師 東海大学 常務理事 橋本敏明先生

略 歴
東海大学常務理事 体育学部武道学科 教授

 

主要授業担当科目
・武道論
・武道文化論
・武道学特論

専門分野
・体育学

 


研究内容
日本古来の伝統的な武術を基礎とする身体文化である武道の歴史を、主に思想面から探究しています。とくに、江戸から明治への移行期における講道館柔道の成立と思想について研究しています。
また、武道家松前重義の武道修行と社会的展開に関する資料収集、および分析等の研究に取り組んでいます。その結果については、研究誌等に発表しています。
柔道指導法については、主に小・中学生のジュニアクラスを対象に、生涯学習の観点から実技指導を行いながら研究しています。
これらのほかに、国内外の柔道に関する実態調査にかかわっています。

 

所属学会
・日本武道学会
・日本体育学会
・日本体育・スポーツ経営学会


講演テーマ

東海大学75周年を迎えるにあたり「体躯を養え」から人生を考える

熊本地震で、東海大学も大きな被害を受けた。松前総長が、見舞いのメッセージを送った。創立者松前重義氏は、熊本出身。

1.学園のスポーツ振興について
1978年米国アリゾナ大学が日本に来て野球の交流試合をした時に始球式をした。77歳。
1989年モスクワ大学に野球場を寄贈し、オープニングで始球式をした。
アメリカのアマチュア野球界からの信頼が厚く、ロサンジェルスロジャースの前のオーナー、ピーターオマリーさんが、松前先生を尊敬されていて、野球を是非オリンピックに入れたいということで、頼みに来られた。当時冷戦で、ソ連の協力がなければ、実現できない。アメリカが直接ソ連に依頼しても絶対にうんとは言わない。そこで、ソ連と民間外交で親交のあった、松前先生にソ連に野球を紹介してオリンピックの種目に賛同して欲しいという依頼に来た。紹介する前に野球をやってもらおうと、野球場を寄贈した。オリンピックに野球が採用されたのは、松前先生のおかげです。東海大学とモスクワ大学の繋がりは、こういったところからある。
最初の運動部は、柔道部と山岳部だった。理工系の大学として設立されたが、スポーツで注目されている。学園のスポーツ振興は、計画的にしている。2015年度大学だけでいうと、21学部20研究科学生数29,008人。院生が、1,057名。教職員総数医学部含めて、6,847人という規模の大学になっている。東海大学付属の14の高校は、付属推薦の制度で入れる。卒業予定の55%が進学を希望している。進学率は、高校は、96%。短大・大学は、57%。
プロ野球東海大学卒業生は、20人いる。付属高校卒業生を含めると、33名いる。バレーボールは、23人。バスケットボールは、15人。ラグビー49人。という活躍状況。スキー部は、インカレで、男子が5連覇した。箱根駅伝は、総合5位。体育学部だけでなく、理工系のトップアスリートもいる。実業団でも活躍している早川翼さんは、理学部です。三段跳びの長谷川選手は、情報理工学部。パラリンピックメダリスト藤田さんは、大学院工学研究科まで進んでいる。
一貫教育で、付属高校と連携して成果を上げている。例えば、ラグビーの仰星高校は、指導者を大学にも招いている。今後は、女子と吹奏楽にも力を入れていく。幼稚園から大学までの一貫教育、人材育成に努め、スポーツや部活を通じて地域とともにある学校を目指す。医科学面での貢献、アンチドーピングなど社会貢献も進めている。
指導者の確保は大事。
「最強の選手ではなくて、最高の選手を作りたい」と、山下先生は言っている。強いだけでなく、人格者でもある人を作っていきたい。

2.創設者松前重義先生の体育観について
学園のスポーツ振興の土台は、創設者が作られた。若き日の4か条の2番目に「汝の体軀を養え」というのがある。人生を生きる力・基盤を若い頃から、柔道で鍛え、受験勉強をし、旧帝大東北大学を卒業し逓信省に入り、そして無装荷ケーブルを開発した。その忍耐努力は全て、鍛えられた体力のおかげだと言っている。
内村鑑三先生に学び、「教育で国を作る」ために望星私学塾を作った。塾の中で体育をした。
学園では、1964年東京オリンピック開催の前の8月から体育の祭典をしている。
晩年、78歳で国際柔道連盟会長を2期8年間務めた。
冷戦下において、モスクワ、ロサンゼルス各オリンピックは、、東西両陣営のが参加しなかった。それを見て、松前先生は、余生を、スポーツ文化柔道を通じて、日本と世界を結びつける活動をすると言った。世界のスポーツとなった柔道で、世界と結びつけることが使命だと言われた。
日本武道館を作る時は、衆議院議員だった。武道館ができて、武道館系の団体が整備されていった。
世界で、武道の人材が必要であると感じた。コミニュケーションが取れる必要がある。国際武道大学の設立に結びつく。
山田守と松前先生が、日本武道館を作った。富士山の形をしている。外国から来た人は、感銘を受ける。日本武道館には自然があり、代々の先生や指導を受けた人の名前が掲げられている。思想があって、素晴らしい。
嘉納治五郎と松前先生の考えは、同じ。武道は、精神と武術。畳や柔道着を、世界に送っている。

3.松前先生の思想が最も結実した言葉「望星」。
望星の精神は、思想を結実させたもの。松前先生の出身大学東北大学の学風は、パイオニア精神。Boys, be ambitious大志を抱けの札幌農学校の流れが、東北大学を経て東海大学に繋がっている。偉大なる希望を持つことは、若者の特権だ。望星は、Boys, be ambitiousを自分の言葉に言い換えたものだとエッセイに書いている。希望を星につなげるという言葉から、望星という言葉を作った。
松前先生の、現代文明論は、人と社会と自然が共存できる新しい文明社会を築く、すなわち平和を求めるんだという平和の理想を忘れないという言葉を残している。
「我々の使命は、大学の建設だけで終わるものではない。大学の建設を通じて、平和国家の建設世界平和の建設を実現させなければならない。」「大学だけではない、大切なのは、社会に出てからの活動である」ということを言われている。
大学の評価は、卒業生、同窓生の社会での活動が大学の評価である。同窓生の方に色々なことを教えていただいて、それを教育活動に応用していかないといけない。これから厳しい時代、東海大学が生き残るのは、我々教職員のみならず、同窓生の皆さんがあってこそ生き残れる。スポーツでの活躍にもご支援をいただき、同時に学園全体にご支援をお願いします。(第69回講演より、講演要旨及びその一部を掲載)

 

 

石山会員(旧九州東海大学卒業)より

 

熊本震災の状況等を説明していただいた

新規参加者の紹介


配布資料

 

 キャンパスの記憶

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懇親会の様子